後輩達が口々に言う中でも、まだ金城だけが複雑な表情をしている。
「金城くん」
いつの間にか悠弥はベンチに帰ってきていて、スコアボードには『1』が刻まれていた。
「いつのまに帰ってきたんだよ」
「ついさっき」
ってことは、聞いてたのか?金城が言ったこと。
「金城くん、俺…野球が好きなんだ。野球をやらせてほしい」
「俺は…」
「こんな俺が……女がキャプテンなんて許せないかもしれない。だけど、俺はみんなと甲子園に行きたいんだ」
「甲子園、ですか」
悠弥の言葉に言葉を詰まらせる。
「そのためには、一人も欠けたら無理なんだ。金城くんも必要なんだよ、だから…」
『頼む』
そう言って、深々と頭を下げた。


