「その、悠弥ってやつ、野球部か何か?それなら名字を教えてくれたらわかるけど」
「…神…、神風です」
神風悠弥。
その名前を聞いた瞬間、あの神風の顔が浮かんだ。あいつ…下の名前なんだっけ?
「楓ちゃん!!」
そうこう考えていると、後ろから誰かが名前を呼んだ。その声を聞いて、小さい女の子は嬉しそうに顔をあげる。
「悠弥ちゃん!!練習お疲れ!!」
さっきまで喋っていた声とは明らかに違う大きさで喋り始めた。
「ごめんな~先生に呼ばれちゃっててさ。なかなか帰してくれねえから遅くなっちまった。」
「いいよー。その間さ、永谷くんと話してたの。」
「…え。」
その声を聞いてピンときた。この声は……背中から聞こえてきている声は…、いつも聞く声だった。


