「監督は遠征に行ってます」
自分で言っときながら悲しくなった。
俺も怪我さえしなかったら…
「そっか」
颯太さんもそれ以上聞いてこなくて、車を黙々と運転し始めた。
「どこに行くんですか?」
「ん~悠弥が喜ぶとこ、かな。はい、到着。ここだよ、ここ」
苓那さんに言われ、車を降りると目の前にグランドが広がっていた。
バッティング練習や守備練習、ピッチング練習がいっぱいできそうな広々としたグランド。
そこには練習のユニフォーム着て練習するたくさんの人がいた。
「あたしたちの大学。これから紅白戦するけど、悠弥も入らない?」
「俺は………」


