全員の視線が東から俺へと向けられた。
「神風がキャプテン?」
「冗談だろ~」
俺がキャプテンというのが信じられないらしい。…そりゃそうだよ。
俺自身が信じられないんだから。
でも…野球に対する想いは、甲子園に対する想いは誰にも負けない。
「今まで以上に頑張るから。…俺はみんなと甲子園に行きたいんだ。だから…」
だから、俺、頑張るから。
そう言いかけた時、群集の中から声が聞こえてきた。
「いいんじゃね、別に。神風も春からは試合に出られんだし。俺は賛成~」
「西条さん…。いいんですか?神風さんをキャプテンにしたら、周りから白い目で見られますよ」
西条に敬語を使ってるし、多分大和くんと同い年の子達だろうな。
いくら言われてもかまわない。
任せられたからには、最後までやり通す。


