結局、二時間みっちり打ち続けて悠弥と別れたのは五時を過ぎていた。


「今年の夏は、甲子園に行けるかな」

「さあな。」


「再興高校、俺達の後の試合で負けたらしいよ。影山、試合に出てなかった。レギュラー全員がベンチにも入ってなかったってさ」



大和が言いたい事はよくわかった。

この地区で甲子園には、再興高校に勝たないとまず行けない。


その再興高校が負けた今、オレ達の甲子園行きがぐっと近付いてきたんだ。


「でも俺は…悠弥先輩と一緒に行きたかった。兄貴は違うの?」

「オレは……」



オレだって悠弥と行きたいさ。

あいつと、最高の舞台でバッテリーを組みたい。

……でも、

「夏、行けるとこまで行きたい。そして秋季大会に全国へ行って、春、悠弥と甲子園に行く」


春になれば、神風さんがなんとかしてくれるって言ってたし、オレはそれを実現させる。


「そうだね。…俺も頑張って、悠弥先輩と甲子園の舞台に立つよ。」




それから数週間後、オレ達の甲子園行きが決まった---。