「明日、勝てると思うか?」

「"勝てる"じゃなくて"勝つ"んだ。」


練習が終わって、オレと大和と悠弥で帰る。それが日課になっていた。

「まあ兄貴が疲れたら俺が投げるから。初回から飛ばしなよ」


「絶対マウンドは譲らねー。オレが最後まで投げ抜く」



大和とオレの間を悠弥が歩く。

そこそこ身長が高いオレ達の間を歩くと、悠弥が小さく見える。


確かに、小柄だし…体型はやっぱり女だよな…。

「なに?何かあった?」


じっと悠弥の方を見ると、ばっちり目が合ってしまい慌ててそらした。



「別に」

「ふーん。じゃあ、俺こっちだから。」


そう言って、クルリと背中を向け帰っていった。



「なあ兄貴」

「ん?」


「再興に行った友達が言ってたけど、明日の試合…大変になるだろうって。」