「…失礼します」
書斎に入ると、ポロシャツにジーンズ姿でメガネをかけて仕事をしている悠弥の父親が目に入った。
「何のようかね?」
「悠弥の事でお話があります。」
「その本人はなぜ居ない?」
「…悠弥が居たら、あなたと話ができそうになかったので」
「そうか。で、話というのは?」
机のそばに寄り、目を見て言う。
「悠弥を試合に出られるように、連盟に交渉してもらえませんか?」
「無理な頼みだな。きみには関係ないことだろ?」
「俺は悠弥先輩と試合に出たいんです。悠弥先輩に球を受けてもらいたくて、同じ高校にしたんです。」
「あいつにそんな実力はないよ。」
実力、技術、その人の言葉は昔のオレが言っていた言葉そのままだった。


