ふっとオレの肩に倒れ込んだ悠弥。

「どした?」

「ごめ…ん。ちょっと肩、貸して」


小刻みに肩を揺らし、静かに泣き始めた。--あの夜みたいに。



「俺だって、野球…好きなのに」

「うん。」


「もう…辞めようかな。」

ぽつり、ぽつりと弱音を吐く悠弥を抱き締めたいと思った。


でも…オレには出来ない。


「親父に頼んでみたらいいだろ。」

「それは出来ないよ。俺が頼んだからってどうなる問題じゃない」


「わからねーだろ。親父なら、お前を試合に出れるようにできるし、そしたらお前も甲子園目指せるんだぞ」

「…わかってるよ。でももう良い」



そう言ってオレから離れ、先に帰っていく悠弥。


その日から、悠弥の顔から笑顔が消えた。