「そのかわり、隆と仲良くしてやってくれよ?あいつ俺に勝ちたくて捕手やってるみたいだけど、もともと外野手向きだしな」
そう言ってグランド整備をしている西条の方を見た。
「でもあいつ以外に捕手はいません」
「悠弥…って子?その子がいるだろ。あいついいリードするよ、ほんと」
「でも、試合には出られません」
悠弥は"女"だから。
「俺も昔、才能あるのに試合出れなくて影で泣いてる奴を見たよ」
…それは結城苓那のことか?
「そいつはさ人一倍努力してんのに、男じゃないから試合に出られないんだ。そんなの、おかしいよな?」
「でも、ルールです」
悠弥が試合に出られないのは、ルールだから。…仕方無い。
「野球連盟って、知ってるか?」
「ええ」
「そこのお偉いさんの一人の名字、神風って言うんだと。苓那が教えてくれたんだけど」
…神風……?それってまさか…。