「今日も"あの球"練習するのか?」

「ああ。もう体は温まってるから、そのまま座ってくれ。」


悠弥を座らせて、ストレートを投げ込む。握りを変え、"あの球"を投げた。

ホームベースを過ぎた同時にぐっと横に曲がる。その球は悠弥のミットにおさまった。


「ナイスボール」

そう言ってボールを投げてくる。


「まだ七割だな。コントロールもひどいしダメだ。」

「相変わらず自分に厳しいな~。」


ふっと笑いながら、何食わぬ顔でオレの球を捕る悠弥。

「明日のOB戦、オレ先発らしい。」


帰り際、監督に言われた。

---明日はお前に任せる、と。


---そして、相棒は自分自身で選べ、と。



西条と悠弥のどちらか、そんなものオレの中ではもう決めている。


オレの相棒は、悠弥しかいない。