僕が今まで感じてきたのは

寒さや、痛み
寂しさ、孤独。

すべてが、目に見えなくて
何をどうしたら

この気持ちを晴らせるのかも
分からなかった。




ただ言える事は
旅をしている間に
目で見てきた


家族のいる暖かさや
ご飯を食べられる、幸せ。
ひとりきりじゃない、
安心感。



そういうものが
僕には、全くなく


そして
欲しかったものなんだと。









重たい瞼を閉じたら
僕の人生はおしまいなんだろう。



だけれどこれ以上
どう頑張ったらいいのかも
どうしたらいいのかも
分からないから。



次に生まれるときは
いっこくらい

目に見える幸せが
欲しいと、思った。






僕はそっと、目を閉じた。











「わ、猫だ。」

僕が目を閉じたその時、
僕に向けて話された声が


耳に届いた。