柔らかい。

あたたかい。


これが、僕の
求めていたものなんだろうか。




と、同時に

汚れてしまった上着に
申し訳ない気持ちになった。





「にゃん、にゃん。ご飯お食べ。」



しかし、女の子は
上着なんか気にせず
鞄から出したパンの小さなカケラを
僕に差し出した。



久しぶりに見た
綺麗な食べ物。

僕はそれに鼻を寄せると
少しずつカケラをかじった。




「おいし?」


ふんわりと笑う女の子は
僕に沢山パンを与えてくれた。

さっきまでの
空腹感が嘘のように



僕は満たされていった。