突然に彼が現れ
突然に瞳に光が舞い込んだ
"目がみえる"
そんな当たり前のことが
出来るようになっただけで
心にも少しだけ
光がさしたような気がした
「あなたがやったんでしょ?」
だってそれ以外考えられない
"魔法"とやらでもつかったのだろうか?
だとしたらなんのために?
考え出すと数々の疑問点が
浮かび上がってきりがない。
屋上の風が冷たい
なんだか少し寒くなり
身を縮めた
私の問いかけにもそっぽをむいて
彼は高貴なタキシードに
手を入れて、寒そうに
"とりあえず温かい場所へご案内します"
と言い、白い手袋をはめた手を
私に差し出した。
「さぁ、お手をどうぞ」
優しそうに、それでいて
どこか楽しげに彼は笑っていた。
私は不信に思いながらも彼の手をとった


