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読書に没頭して、いつの間にやら辺りの客は少なくなっていた。
ハルナの姿が見当たらない。

「柏木さんなら、今上がったよ」

私が飲み干したアイスコーヒーのグラスを下げ、イケメンが言う。
またまた私は頭を下げ、本をバッグにしまい、伝票を持ってレジに向かった。



店を出ると、ちょうどハルナと出くわした。ぐったりとした表情だった。

「お疲れ」
「疲れた」
「どうだった?」
「意外と良い感じだったよ。庄司さん優しいし」
「あのイケメンね」

庄司さん、というのか。
どうやらハルナはすっかりその庄司さんに懐いてしまったらしい。
ユウが聞いたら妬くだろうな。


今回は、もしかしたら案外長続きするかもしれない。

少し寂しくも思いながら、私は彼女と別れた。