次から次へと漏れる嗚咽に、呼吸が困難になってくる。
「…っ私には、お父様との温かくて裕福な記憶が沢山あるの。けど、知哉ちゃんには良いお父様を残してあげられなかった。ごめんなさい…っ!」
知哉ちゃんの腕に力が入る。
「……可愛」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
可愛は悪くない、と抱きしめる知哉ちゃん。
違うよ、それは違う。
「私が悪いの…っ!…本当は、お父様はすごくすごく仕事忙しかったの、ミスが沢山あって、すごく大変だったの。…なのに、私が我が儘で仕事がちゃんと出来なかった」
しゃくり上げて、
「…私のせいで会社が潰れたの。だからお父様の心に余裕が無くなって、お母さんに暴力を振るって、離婚した。…それに知哉ちゃん家を巻き込んで……」
知哉ちゃんの腕が少し緩む。
