飼い犬に対しての飼い主の自己欲は、意外にも強いものだった。 可愛 ――――――― ごめんね、亜々人。 今日は知哉ちゃんと帰ります。 ほら、そうやって簡単に俺の腕の中から逃げる。 首輪なんて、着けてやらない。 そんな余裕もない。 早く、堕ちて。 堕ちてきて。 可愛 好き、って小さく吐息と漏らしてみた。