Maidoll Factory

「私ね」

るちるが涙声で語り始める。

「このメイドールファクトリーで人形技師見習いになったばかりの頃、先輩の仕事ぶりを見ながら思ったんです…『何て楽しそうにメイドールを作る人なんだろう』って…この人は心の底からメイドールが好きなんだな、メイドールを作る事が好きなんだなって思いました…だから、自分の仕事を楽しんでやっている先輩は、きっと将来すごい人形技師になるだろうなって思っています。今も思っています」

「……」

視線を下げ、俯いて。

僕は考えを巡らせる。

「先輩…先輩は、まだメイドールが好きですか?」

話している間中、るちるは一度たりとも僕から視線を逸らす事はなかった。

真剣な眼差しのまま、僕を見つめ続ける。

「メイドールを作る事が好きですか?メイドールに携わっている自分が好きですか?」

僕から手を放し、るちるは静かに立ち上がった。

「もう一度よく考えてみて下さい…本当に、先輩は何もかも失った人形技師ですか…?」