Maidoll Factory

男性は愕然とする。

「いいかい、お客さん」

おやっさんは僅かに視線を下げた。

「新しい魔法エンジンを移植したとしても、それは外見がこの子と同じなだけの『別のメイドール』なんだ。お客さんと過ごした年月の記憶も、経験も、何一つ覚えていない生まれたばかりの赤子同然…お客さんの好みも名前も、あんたが自分の事をどれだけ愛していてくれたかも、何もかも忘れてしまってんだ…」

「…っ…っっ…お…おお…」

男性は、その場に崩れるように跪いた。

慟哭。

嗚咽。

『アリシアちゃんは二度と戻ってこない』

そんな残酷な宣告を、おやっさんによって告げられたのだ。

「おおぉおぉぉおぉぉ…おぁああぁあぁぁぁあ…!」

心からの悲痛な叫び。

その涙に、僕も、るちるも、おやっさんも、何も声はかけられない。

彼の涙を止められる者は、たった一人…アリシアちゃんだけ。

しかしアリシアちゃんは、既にこの世には存在しないのだ…。