「なぁ?」

「何や?」

「ただいま。」

「おお。お帰り。」
 
「うん・・・。」
 
「あかん。きしょい。お前のそういうところが、ほんまにきしょい。相変わらずのあほやな、お前は。」
 
「うるさいわ!あんたに言われる筋合いないわ。」

「なぁ、お前車降りるか?別にええねんで?置き去りにしても。」

「ごめんなさい!それだけは勘弁して下さい。悪いのは私です。」

「分かればええねん。あほ。あとな、俺はしばらくお前の世話してやるけど、俺のお前に対してのあほっていう表現を、間違っても大坂人の愛情表現と勘違いすんなよ。俺は間違ってもお前みたいなあほは好きにはならん。ほんまにあほやからあほって言ってんねんで。」

「・・・了解しました。」

車は走り出して関西空港を出て行き、彼のアパートへと向かう。

私は恋に恋を重ねるように

恋をしながら

必死でここから逃げ続ける。

こいつのこの失礼な発言は、

こいつの本音。

私の本当に欲しいものは

いつだって私の手に入らない。

こんな想定外の、

制御ができないような気持ちは嫌。

忘れたいと

心から思っているのに

それさえもできない。