香港からのフライト中

爆睡をして関西空港に到着した私は、

さっさと入国手続きを済ませ

大急ぎでレールの上を流れる

トランクを見つける。

税関をぬけて

そのまま一気にゲート出る。

アライバルロビーの中を

駆け抜けるように歩きながら

そこら中を見渡す。

そして、

ベンチに座っている彼を探し出す。

ようやく、見つけた。

携帯電話をいじっている、

私に気がつかない彼を眺める。

変わっていないな、

そう思う。

心臓がぎゅっと高鳴る。

上がった息を整えて、

彼の目の前までゆっくり近づいていく。

「久しぶり。」

「おお。小森。元気か?」
 
「まぁね。おかげさまで。」

「まぁ、お前の事なんて、最初からどうでもええねんけど。」

「ほんまに、あんたの口の悪さも相変わらずやな。」

「このどあほが。ほんまの事や、覚えとけ。」

「そんなん、ずっと前から知っとる。」

「せやな。」

私がずっとあんたに会いたかったのを知ってそれかい?
せやけど今回だけはあんたに会いたくなかった気持ちは嘘やないで。
私は負け戦もあんたも大嫌いやねん。
どあほは私やない、あんたや。
何でまた私をここに呼んだ?
あんたにこうして呼ばれれば、
こうやってひょいひょいあんたのところに来てしまう事だって知ってて、
分かりくさって私を呼ぶあんたにはこっちがうんざりや。

「おい、荷物持つわ。貸せ。」

「ありがと。しばらくの間、お世話になります。」

「おお。世話してやるわ。しゃーないから。」

「ほんまにいつもすんません。」

「ほんまやで。」

「はい。分かってます。」

ほんまに悔しい。
何で私はあんたに会える事がこんなにも嬉しくて苦しいねん?
あんたからの同情だけは欲しくない事もういい加減分かってや。
あんたにとって私は、一体何よ?

「さっきから、何やねん?」

「別に。何でもありません。」

「せやったらそんな顔すんな。おら、行くぞ。」

「・・・・・。はい!」

私はそう言って早足の彼に一生懸命ついていく。