メルボルンの滞在中に、

思い出の場所へ足を運んだ。

Tommyと私が道端で

ふざけながら歩いている時に

カメラマンに声を掛けられて

スカウトされて、

モデルとして写真撮影をしたスタジオ。

尻込みながらも

思い切って扉を叩けば、

当時のカメラマンが出てきて

私を覚えていたので驚いた。

私は当時の写真を見せてもらって

そのまま持ち帰る事にした。

これが私なりの

その後で消息を絶って

あらゆる手段を使って

探しても見つけ出す事のできなかった

Tommyとのお別れだった。


以降、

私がカメラを手にする事はなくなった。

美しい瞬間の記録を作れば

否応がなしに思い出して

その事に囚われる。

私のうっとおしい性質を理解した私が

生きるためにとった

処世術の一つ。