本当は彩ではなくて、

私がBitchなのだ、正真正銘の。

少なくとも、

司さんには見抜かれていた。

あの韓国料理屋で

彼女はただ本当のことを

そのまま指摘しただけだった。

香港に来る前から

私は誰か1人を相手に

恋愛をしていたわけではなかった。

常に複線を張ってきた。

どれだけ理由をかぶせても

それは取り違える事のできない

事実だった。


部屋を散らかす事で

心の声を聞きたくなかった彩。

私は、もしかしたら

男を使って孤独をごまかしている

かもしれなかった。

多分この考えが正しかったのだろう。

私はそれ以降全然Tommyの夢を見なくなった。


そして私がそうやって

孤独をごまかしていてもいなくても

私は今の私をMaintainする為に

最低限の人手だけは確保する必要があった。

それを最優先事項にして

人間関係の整理をした。




彩がいなくなって、

私はまるで憑き物が落ちたかのように

落ち着いたように見えたらしい。

私がようやく普通の世界に戻ってきた、

戻ってきてくれて本当に良かったと、

憧れの桜さんに声を掛けられた時

私は、苦笑して返すほかなかった。