ようやく全てが

完璧にきれいになって、

気分もすっきりした私は、

コーヒーを淹れて

ソファーに座っていた彩に手渡した。

ありがとう、

と言ってコーヒーを受け取る彩の表情が

とても辛そうで、

悲しそうだったのが気にかかった。

「どうしたの?何か、落ち込むことでもあった?」

「私、こうやって、全部整頓されてしまうと、胸が痛くなるの。」

「何で?」

「分からない、でもお部屋がぐちゃぐちゃしていたほうが、落ち着く気がするの。」

「もしかしたら、あんたはそうやって、自分の心にオブラードをかけているのかもね。」

「分からない。」

「知ってた?部屋の状態ってその人の心の状態を表すの。だから私は掃除をするし、整頓するの。掃除が好きとか、嫌いだとかじゃなくて、そうやって心がけるの。」

「うーん、だから今心が痛いのかな。」

「多分、そうじゃないの?たまにはいいでしょ。一度整理してみるのも。」

「そうね・・・。でも私はまた散らかすからね。」

「いいよ。その都度、私が掃除してあげるよ。」

「怒らないのね、志保は。」

「怒ったところで、彩は直らなかったからでしょうが。その人それぞれの癖があることが当然だから、別にいいよ。私、彩のこと好きだよ。」

「ありがと。」