皮肉なくらい

綺麗に青い空に向かって

灰色の煙りを吐く。


その灰色は青にのまれて消えていく―…‥



「ねぇ〜ぇ、吏和ってばぁ」


耳から入ってくるのは高い女の声。


「あぁ?」


黙れ、という視線を送っただけでコイツが黙らないことはなんとなく分かる。


「吏和、私達付き合ってるんでしょ?
もう少し優しくしてくれてもいいんじゃない?」


甘ったるい声が今日は余計にうざい。

「はぁ?誰が付き合ってるって?」


この一言に女も少し怯む。


濃すぎる化粧で真っ黒になった目を見開いて、なにそれ?という驚きと怒りの混ざった表情。



「ヒドイよ」



悲劇のヒロインにでもなったつもりかよ。