藤咲にぐいぐいぴっぱられ
食堂を出たところで
ぴたりと止まった



「んだよ、藤咲」


藤咲は
バッと勢いよく振り向いて



「ねぇ
越後先生と翔子って
どんな関係なの!?」



「え、いきなりなんだよ」



「先生と元生徒にしては
仲よすぎじゃない?
増井くんなんか知ってる?」


藤咲は身振り手振りして
疑問を俺にぶつけだ



「知らない。けど」



「けど?」



「俺らが知らない
なにかがあるのは確か…」




確かに思っていた


あのへらへらして
いつも人と上辺だけで
関わっているような越後が
元生徒に教材や本を貸したり


深いよな、


何かあるよな



しかも、


俺が初めて
翔子ちゃんが男性恐怖症と知った日に
話して知ったことで


越後が翔子ちゃんに教えていたのは
中3の初めからの卒業まで

今は高2


翔子ちゃんが塾を辞めてから
約1年以上たっている


なのに
あの2人は深い関係を
もっているようだ


それになにより



「男性恐怖症なのに
おかしすぎるよな…」



「え?」



「翔子ちゃん男駄目だろ?
なのに男の越後はいいって言うのは
おかしい話だもんな」



「増井くん、何の話…?」



「?…
何って、藤咲知らないの!?」



「男が駄目…?
男性恐怖症…?」



「まぢかよ…!」