K高にはF中出身は山ほどいるから
彼女の謎を解くのは正直簡単だ


知りたいけど
彼女は知られるのを嫌がっている


何度もそのことについて
元F中のやつに聞こうと思ったが
彼女の怯える顔を思い出す度に
聞くことはできなかった




そして、あの日以来
連絡できずにいた


俺のせいで
症状を悪化させていたらどうしよう…


ここでまた連絡したら
また混乱状態に陥らせてしまうかも…


俺いつからこんなヘタレだっけ?



「はぁ…」



「んだよお前、」



「あぁ?」



「今の俺の素晴らしーい
演奏聞いてた?」



「聞いてねーよ…」



「あー
つまんねーやつ
だからお前モテなくなったんだよ」



「お前だってギターばっかだから
彼女できねーんだよ」



放課後
軽音部室で祐介がどうしても
新曲を聞けって言うからきてやったけど
なんでコイツと
恋愛トークしないといけないんだよ



「ギターがあれば
女もついてくるって信じてるから」



祐介はそう言って
にしゃっと笑った



「なんだそれ」



「あ、
信じてないだろー
お前もドラム続けたら
モテ期復活だぜ」



「さっきから
モテなくなっただとか
モテ期復活だとか
俺モテた覚えないんですけど?」



「そーいうとこが
モテてたんだって!」



「はぁ?」



「爽やかーで
何でもできる純粋な好青年!」



「あー
もうついて行けねーよ
祐介にわ」



「今の時代は
ちょっとエロな肉食系だよ!
お前みたいな鈍感はダメだ!
せめて鈍感なふりをしての確信犯だ!」



「おいっ帰るぞ」



「えっ
聞いてんのか貴皓!」



「聞いてねーよ、
先駐輪場行ってるから
さっさとギター片付けてこいよ」



「待てよー!」