そうすると右手の行き場がなくなって、なんとなく落ち着かなくなる。
雅はテレビの電源を入れようとリモコンを掴んだ。
「テレビ付けんな」
「なんでよ」
「うるさいから…」
「はぁ? 私は観たいんだけど、テレビ」
珍しく雅が、眉間に皺を寄せて怒った。
自分勝手なことぐらい分かってるけど、今更そんなことを気にする間柄でもない。
少なくとも、俺はな。
「なぁ雅、もっと他にすることねぇの? 俺と」
「ないでしょ」
「…キスしていい?」
俺はリモコンを持ったままの雅の手首と掴んだ。
おでこを近づけると、雅はあからさまに顔を歪めた。

