キスより甘く囁いて



仲良く並んだマグカップは、もくもくと湯気を立てていた。


「可愛いコップー」


叶多くんがマグカップを見ながら言った。

私はなぜか動揺した。


「ああ…それ、弟が買ってきてくれたの」

「へえ、弟いるんだ」

「うん」


本当に私には弟が居る。

良かった、と思った。


ほっとしたと同時に、嘘をついたことへの罪悪感が込み上げる。

なんで、隠そうとしたんだろう。


凛の存在を。