よ、世の中って本当に不公平だな…


社長令嬢で、絶世の美人で…



「…今日は、結花ちゃんに会えて本当によかったわ」


西川さんは優しい眼差しで私を見つめた


そんな目で見られたら、女の私でもドキドキしちゃうよ



「は…はあ」


「じゃ…正樹さん。また会社でね」



西川さんはサングラスをかけると軽やかに車に向かっていった



な…なんだったの?



「…結花。何話したんだ?」


「へ?」



突然正樹さんが話しかけたから、マヌケな声がでた


でも、見上げた正樹さんの表情は真剣だった



「な…何ってほど…ただ突然話しかけられて、ただそれだけです」


「変なこと言ってないよな?」


「…まあ、たぶん」



な、なんか正樹さん怖い


思わず目を逸らす



「…結花、ちゃんと俺の目を見て」


「わっ」



正樹さんの暖かい大きな手が、頬に触れた



「逸らさないで…」


「…正樹さん」