「俺も小さい頃よく家族と来てた。今じゃ、ありえねぇ話だけどな。お前の家族は、俺達と違って温かいから羨ましい。」


そう言った修の顔が、今にも泣き出しそうなほど悲しみに満ちていた。


でも、あたしにはそんなに気の利く言葉も言えなくて、ただ修の隣で俯いていることしかできなかった。


あたしが思っていた以上に、修の闇は深かった。






どれくらいの時間がたったんだろう。


辺りはすっかり暗くなり、夕日は完全に沈んでしまった。


あたしたちは、静かに立ち上がると、修の別荘に向かって歩きだした。