近くから男の声が聞こえ、振り向く。
暗くてよく見えないけど、バイクに跨り私を真っ直ぐに見ていて。
無視して歩き出す。
山道の入り口に足を踏み入れた。
『そっち家無いで』
『……………』
『聞いてんのか、コラ』
ジャリジャリと砂利道を歩く音が近づく。
それに合わせて早歩きをした。
今は誰とも関わりたくない。
『待てや』
『……っ、!!!』
肩を掴まれて、反射的に振り向く。
男は眉間にシワを寄せ、私を見下していた。
少し長い黒髪にストレートの襟足。
切れ長で真っ黒の瞳が揺らぐ。
私を見て彼の表情は変わった。
『お前、』
『……………』
『犯されたんけ?』
『違う』
『嘘着くなや』
ちょっと来い、そう言われてながら山道の入り口から田んぼ道へ引っ張られて。
再び来た道を戻っていった。
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