「ゆいさん」


「…………」


「ゆいさんって」


「…………」


「俺には無視すんなって言う癖に」






軽く笑い、龍の手が私の頭を撫でる。

優しく、ゆっくりと。





「何があったか言ってくれな、わかりませんよ?」


「…………い」


「ん?」


「…ごめんなさい」






やっと絞り出せた謝罪の言葉。

けれど私の顔は龍に埋めたままで。





「いや、それは俺もすんません」


「……………」


「昨日言い過ぎました」


「ちが、」


「ゆいさんの事、俺何も分かってなかったです」






違う、違うねん龍。

分かってなかったのはうちの方やねん。

龍は正しかってんから。






「だからゆいさん、」






龍は私より、私の事を知っててくれたのに。






「そんな泣きそうな顔しないで下さい」







私は龍に酷い事を言った。






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