泣きたいけど泣いてはいけない。

人を束ねる存在の人間が弱みを出してはいけない。



しっかりしなきゃ、彼等のリーダーは私なんだから。







「ゆいさん、」






隣に腰掛け、龍の手が私の頭に触れる。

その手は段々頭をすり抜けて、







「ゆいさんだけの責任じゃないです」


「…………」


「俺は、ちゃんと傍にいますから…」







後ろから龍の腕に包まれて抱き締められる。

辛そうな声が耳元から聞こえてきて。




部下に慰めて貰うなんて、まだまだやな。







「…帰ろっか」


「もう少しこうしてます」






ギュッと龍の腕が更に強くなる。




私は返事をしないで、そのまま動かなかった。










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