私の勘は

仕事に気をとられて

以前よりずっと鈍っていたけれど、

子供ができたな、と感じたのは

実家に立ち寄った時に、偶然

とある産婦人科の出産レポートが

放映されていて、

それは感動的なお産についてで、

これをこのタイミングで観た私は、

2度目の妊娠を予感した。

ちょっと時期としては良くなかった。

IT業界はリーマン・ショックの煽りを受けて

彼は「休業中」になっていたのだから。

それでも産むつもりだった。


披露宴の仕事が大好きで

これまで何千回と

時にはウェイトレスとして、

時には司会者になり、

時には黒服として式を取りしきって

数々のカップルに立ち会ってきた私は

自分が実際に披露宴を挙げることに

全く興味がないというより

やりたくもなかった。

2人だけで静かに祝えるのが、

私にとって一番理想の結婚式。

ウェディングドレスだけは

どうしても着たかったし

幼少からの私の夢ではあったけど

聡と一緒なら別に要らないから

だから産もうと思っていた。



その後の事は、どうにでもなるし

どうにでもできるんだから。

できるだけのことを

できるだけがんばれば、

何とかなる、それが私だとしたら

彼は何事においても絶対なプランをつくり

計画的にやらないと気がすまない。

その割にはいつも抜けていて

どこか失敗するところが、

本当にかわいらしくて

多分ずっと憎めない。