「竹内さん。とにかくセックスをしましょう。」

そう誘ったのは、

はじめて彼とプライベートで会って

デートしていた私の側で、

あれ程恥ずかしい事はなかったけど、

この男には、はっきりと言わなければ

絶対に伝わらないと思ったから

言葉でしっかりと伝えた。


そもそも、このデートに至るまでの

経緯が、まどろっこしかった。

それは先日アレグリアを観た彼が私に、

『アレグリアは素晴らしかったです。

元気をもらえました。志保さんの

旅立ちの選別にチケット代出しますよ』

というメールを送ってきたことから始まり、

『それくらいなら一緒に鑑賞しなさいよ』

と私が半ば怒って返信したメールに対して、

『実はそのつもりでデートに誘ったつもりだったのですが・・・』

という返信をもらって、

はじめてこれがデートの誘いだと

気がついた位だ。

実際はチケットが取れずに

アレグリアには行けなかったけれど、

私にはそんな事はどうでも良かった。