彼への思いが、

その後の私を後押ししたのだろう。

恋のはじまりはいつでも

何もかもが素晴らしくて、

自分が世界中のあらゆるものから

愛されていて恵まれている事を

思い出させる。

周りの何でもない景色が

どうしようもなく美しく

鮮やかに眼に映る。


気力を得て活動的になった私は、

上海へ旅行へ行ったり、

求人の面接を受けたりして、

あっという間にサイパンへの就職を決めた。


これでようやく心機一転して

また旅立てる事が嬉しくて

仕方なかったけど、

彼にもう会えなくなる事だけが、

どうにも切なかった。