俺様彼氏と空手彼女








「牧瀬、そこ、どいてくんねぇ?」






「…」






「牧瀬?」





何も答えず、道だけを開けた。





私が返事もできずうつむいていたら、悲しそうな声で




「ごめん、璃依…」





とポツリと呟く声が、通り抜けた瞬間に耳をかすめた。






「…え?」





なんで森崎が謝るの??悪いのは、私なのに。





まだ望みがあるって、自惚れていいの??












「待ってよ、葵くーんっ!どこ行くの??」






あんな言われ方をしたのに、まだ森崎の腕に絡み付く凜。






「ついてくるなよ、“永井”。」


















「…何よ。」