「嘘つかないでよ、私知ってるんだか…」 「知らねぇって言ってんだろ?」 森崎の少し大きめな声に教室内が一瞬、しんとなった。 「…めんどくさ。」 つまらなさそうに呟くと、席を立ち、教室の扉へと歩き始めた。 「あ、葵くん…、どこに…」 「てめぇには関係ねぇだろ。俺、香水くさい女キライなんだよ。」 振り向きもせず、そう吐き捨てると不機嫌そうにガラリと教室の扉を開けた。 「え…っ、璃…あ、牧瀬…。」 森崎は全然気付いてなかったのか 私がそこにいたことに、かなり驚いている様子だった。