がら空きの先輩の体に、遠心力でスピードを付けた蹴りを叩きつけようとした。
けど
ズキッ
「痛…っ!!」
あ、忘れてた。
足首、痛めてたんだ…。
減速した私の回し蹴りは、あっさり先輩に避けられてしまい、ついでに手首まで掴まれてしまった。
動けないように、がっちりと。
「弱ぇくせに意気がってんなよ」
「…っ!ケガさえしてなきゃアンタなんか…っ」
「俺たちにたてついたこと、後悔させてやるよ」
ニヤニヤと、冷たく笑う先輩たち。
先生や生徒はグラウンドにいるから、校舎側にいる私たちに気付けるはずもなく。
私は絶対絶命のピンチだった。

