「いいよ、いらない」



「なんで?」




なんでってそりゃ、アンタが何か企んでるからでしょ。




「あっそう。なら、こうしようか」



だからいいって言ってんのに。人の話聞いてないでしょ。



「俺にも、いいもんくれる?」


「は?」





「だから牧瀬が一位とれなかったら、俺にキス、くれる?」



はぁぁぁぁぁぁあ!!?



「ばっかじゃないの!?そんなの乗るわけないじゃんっ!!」




「じゃあ俺の不戦勝。褒美のキスは今もらうけど、いいんだな?」



「な…っ!!だからやらないって言ってんじゃん!!」



「そう。じゃあ、牧瀬が一位とったら、もう一つご褒美。」






「人の話を聞こうよ…。」




「いいもんの他に、お前の言うことなんでも一つだけ聞いてやるよ。もうからかうな、でも、話し掛けるな、でもなんでも。」



「…え…っ」




「どう?やらねぇ?」




ニヤ、とほくそ笑む森崎葵。