俺も少し遅れて屋上を出た。
そうしたら、目の前に教科書やらリコーダーやらが散乱している。
なんじゃこりゃ。
だけど俺はすぐ目の前に人が座り込んでいるのに気付いた。
なぜかそのオンナは、俺を凝視していて、固まっている。
「…何、見てんの?」
思わず口調がきつくなる。
「あ、ごめんなさい…」
オンナは、パッと目を反らすと散乱したものを拾い集めていた。
どうやら筆箱の中身までばらまいてしまったようだ。
俺はなんとなくイライラしてそれを手伝わず、通りすぎようとした。
俺はこのオンナにイライラしている。
入学してからずっと。
コイツの顔が、妙にあのコに似てるから…。

