馨と間違われて街中で、よく女に突然腕に絡み付かれる。
本当に、こいつの女好きにはいい迷惑だ。
「なぁ、葵。お前モテモテじゃん」
「あ?」
突然馨がそんなことを言い始めたから、少し怪訝に思った。
何を突然…。
「今日、知らないやつに『見つけたぞ森崎葵!覚悟!!』って言われて、殺されかけたんだけど?」
言ってることはヤバイが、本人は淡々としているからそんなに気にしてないんだろう。
「そうか。で?」
でも一応、聞いてみる。
「ん?そりゃあ、返り討ちにしてやったさ」
やっぱりな。
「じゃあいいじゃねーか」
「よくねぇよ。お前な、逆ナンされたのが男だぞ。わかるか?しかも、ナイフと金属バット持ちだぞ。楽しくねぇよ」
と、雑誌から目を置いて俺を睨み付けた。
どうやら、本気で怒っているらしい。
普通、怒るとこが違うと思うが…。
「そりゃあ悪かったな」
「ったく、ホントだぜ。すぐに人間違いだと気付いたからよかったけどな」