「てめぇら、いい度胸してんじゃねぇか…」
低くうなるように葵は言った。
いつも私を力強く見つめた、綺麗な目に鋭く殺気が宿る。
「お、お前だってこの女に浮気されたんだろ?だったら別に、庇うことないじゃねーか」
「黙れ」
ぴしゃりと葵は言い放ち、ダンっ、と壁を殴り付ける。
「一人残らず、その口開かなくしてやる」
「…っ!」
五人が怖じけづいて、一歩下がった瞬間。
葵は踏み出していた。
まず、一人。
二人、三人とあっという間に倒してゆく。
強い…。
たった一人で、五人も…。
四人目が気絶したとき、最後の一人は青くなって震えていた。
「う、嘘だろ…?」
「最後はてめぇだ。もちろん、覚悟は出来てるよなぁ…?」
「ま、待て森崎…!」
「俺の女に手ぇ出そうとしたんだ。ただで帰られると思うな。」
「…っ」
「俺の気が済むまで、地獄見てもらうからな」

