俺様彼氏と空手彼女






あぁ、俺カッコわりぃ…






「よぅっ!なーにむくれてるんだ、色男っ」



苛つくほどの、軽い口調。

そのおかげで俺の機嫌はさらに悪化する。




「うっせーよ!!勝手に入ってくんな!!」




ノックもせずに突然入ってきた無法者に、俺は思い切り怒鳴り付ける。




「んだぁ?第二反抗期か?」



と言って、けらけら笑う。



「俺さまみたいにもっと寛大になれよ、小僧」




「じじいかてめぇは!!」




この軽そうなやつは俺の兄貴、馨。


現在大学二年生。





俺が女嫌いなのに対し、こいつは無類の女好き。



誰彼かまわず、女であれば口説く最低な野郎。




こいつと同じ血が流れているとは、考えたくない。





「そんなにしょげちゃって、せっかくのいい男が台無しだな」



「台無しで結構だ!!」



「なんでそんなに落ち込んでいるんだ、弟よ」



こいつは、全くと言っていいほど人の話しを聞かない。



一度しめたい。




「落ち込んでねーよ!」




「嘘言うなよ。女の目はごまかせても、この俺様の目はごまかせないぜ??」