私の顔を覚えていた不良たちは、同じ顔の凜を私だと思い込んで凜に絡んだんだ。
この前の、仕返しに。
「…っ」
正当防衛なんて、言える状況じゃない。
私は、唇を噛んだ。
私が引き起こしてしまった、この問題は私が引き受けなくてはいけない。
凜に罪を背負わせるわけにはいかない。
「走って!!」
凜の手を引いて、勢いよく駆け出す私。
その後ろを、焦った様子の警官が追い掛けてくるのを気配で確認した。
「璃依、逃げるなんてムチャだよっ」
「ムチャじゃないっ。これは私の責任。私がケジメをつける。だから、凜は逃がす!!」
「どういうことっ!?何する気!?」
「別に何もっ!!二手に別れよ!私右行くから、凜左。何があっても止まらないで!例え私が何を言っても!」
「え…っ、ちょ、璃…!?」
それだけ言うと、私は凜の手を離して右へ駆け出す。
凜は、私の言い付けを守って走っている。
これでいい。

