なんとか乗り切れた、そう思ったときだった。
「…ぅ」
かすかなうめき声。
その瞬間、私は凍り付いた。
さっき蹴り倒した警官が起きたのだった。
「ん?そう言えば、妹が腕を掴まれてたと言ったな?何故掴まれていた?」
更に悪いことに、墓穴を掘ってしまっていたことに気付く。
背中を冷たい汗が流れた。
「あ、えと…。」
あれ…?
そう言えばなんで、警官に捕まってたんだろう…。
思考を巡らせる。
それに、さっきお巡りさんが言った言葉。
『近くで乱闘騒動があって…』
…まさか。
暗がりでよくは見えなかったが、目を凝らせば凜の服は乱れ、顔にもいくつかの傷があった。
その瞬間、何が起きたのか悟った。
「凜…。」
なんで凜が。
巻き込まれたの?
何があったの?

