今日は久しぶりに凜が家に泊まる日で、この日を私も凜も心待ちにしていた。
だから凜が自分の家に帰るなんてこと、ましてや何の連絡もなしになんてありえないことだ。
それなのに、凜はいつまでたっても来ない。
「お母さん、もう7時だよ。私やっぱり探してくるよ」
「わかったわ。お願いだから、危ないことはしないでね。」
「伊達に10年空手やってないよ」
そう言って私は、ソファーにかかってた上着を羽織って家を飛び出した。
外はもうすっかり暗くて、冷たい夜風が身にしみた。
「寒…っ」
凜は、こんな寒い中どこにいるの?
いくら凜が強いからって、さすがにヤバイかもしれない。
私の頭を嫌な考えばかりがよぎる。
私で、なんとか出来る状況ならいい。
けど、私にだって限界がある。
どうしたら…。

