俺様彼氏と空手彼女




振り返ると、そこには見たことのない男の人がいた。


ってか、めちゃくちゃかっこいい…。




黒髪で、すらっと背が高くて。



切れ長の目を細め、整った眉を吊り上げて憤慨している。



「てめーこんなとこにいやがったのか!!」



「うわっ」




「つーかなんだこの顔は!!」



突然やってきた男の人はあの男の子に勢い良く近づくと、いきなり胸ぐらを掴んで怒鳴る。


あまりに突然のことで、私も慌てた。




「ちょ…っ!?なにしてんですか!!」




何、この子の知り合い??



にしたって、行動が不明だ…。






「放してよ、兄ちゃん!!」





兄ちゃん??



この人、お兄さんなのー!?





「うるせー!!ばかやろー、俺がどんだけ捜し回ったと思ってんだよ!!しかもなんだこのキズは!?てめぇが、ぼやっとしてっから変なのに絡まれるんだ!!まさか金まで取られたんじゃねーだろうな!!そんなこと言ったら家には入れねーぞくそ野郎!!」



と、早口で一気にまくしたてた。




「……そのまさか、なんですが…」




「この…ばかやろーー!!!!」