「大丈夫?」
乱れた息を整え、私は男の子に尋ねた。
「あ、うん…。」
「そ。あんなとこ、一人で歩いちゃダメだよ。」
「キミこそ、女の子なのにダメだよ」
「えっ」
びっくりした。
女の子、だなんて言われたのはいつぶりなんだろう。
いつもは、おとこ女だとか、怪物女だとか言われてて。
そのたびに傷ついていた。
まぁ、別に今さら自分を変える気なんてないんだけど。
「別に私は強いからいいの!!」
「でも、危ないだろ?」
「平気だよ、黒帯なんだし」
「黒帯?」
「あぁ、えっと。空手の時に着る胴着の帯の色だよ。黒が一番なの」
「…どうしたら」
「え?」
「どうしたらそんなに強くなれるの!?」
どうしたら…って、
初めてそんなこと聞かれたな…。

