今から2年前――。
私が中学二年の時のこと。
「――う…、や、やめてください…っ」
「うるせーよ。いいから金だせよ!」
薄暗くて、あまり人気のない所。
そこは、不良たちにとって絶好の場所だった。
そんなとこを通れば、絡まれるのは目に見えている。
だけど私は、たまたまそこに入り込んでしまった。
そうしたら人を殴り付ける鈍い音と、弱々しく助けを請う声。
そしてそれを嘲笑う、男たちの声。
ああ、誰かやられてるのか。
こんなとこ、しばらく誰も来ないのに。
交番だって、ここからは結構遠いし。
仕方ない。
「んだよ、これしかねーのかよ」
お財布から抜き取った千円札数枚を掴み、それをニヤニヤとしながらひらつかせる。
「返して…っ」
「ああ!?うるっせーよ!!」
ぐっと掴まれた胸ぐら。
その瞬間、私の体は動いていた。

